相続人で話し合って不動産を分割する場合、相続登記に「遺産分割協議書」が必要です。
遺産分割協議書とは、相続人の不動産分割の話し合い(遺産分割協議)の結論をまとめた書類です。
このように話し合いを正式な書類として残すことで、法務局等の第三者に遺産分割の内容を証明できます。
本記事では、相続登記等で必要な重要書類である「遺産分割協議の書き方」や「作成を依頼できる専門家の紹介」等を解説していきます。
なお、本記事では「不動産のみの遺産分割協議書」について説明しますことあらかじめご了承ください。
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【目次(タップで移動できます)】
・遺産分割協議とは?
・遺産分割協議書とは?
・遺産分割協議書のひな形(不動産のみ)
・遺産分割協議書についての相談先
【重要】遺産分割協議は重要な話し合いです
遺産分割協議書を作成するためには、まずは遺産分割協議をしなければいけません。
遺産分割協議とは、相続人同士で遺産分割について決める話し合いのことです。
遺産分割と言うと、多くの方は法律で定められた相続分を想像するかもしれませんが、このルールは絶対ではありません。
相続人全員で遺産分割協議をして、全員が内容に納得していれば、法定相続に関係なく自由に遺産を分割してもOKです。
法定相続割合は絶対ではない
「亡くなった方(被相続人)」と「遺産を受け取る側(相続人)」にはそれぞれ事情や意思があります。
被相続人の都合と意思で遺産分割を指定する方法が遺言で、対して相続人の事情と意思で遺産分割を決める方法が遺産分割協議になります。
たとえば、相続人が3兄弟で長男は実家(被相続人名義)に妻や子供と住んでおり、次男と三男は遠方の自治体で仕事をしており、すでにマイホームを購入して家族もいました。
法定相続分で遺産分割すると、実家を長男、次男、三男で3分の1ずつ分割することになります。
しかし、実家にはすでに長男家族が住んでいますし、次男と三男は遠方にいます。
このようなケースで法定相続割合を強制してしまうと、全員にとって不都合な結果となってしまいます。
法律で相続分のルールはあるのですが、絶対ではなく、相続人の都合に合わせて自由に遺産分割ができると知っておきましょう。
遺産分割協議の概要と注意点
遺産分割協議は相続人全員による話し合いです。
遺産分割協議と言うと厳格な話し合いを想像するかもしれませんが、とくに決まった形式は「相続人全員が遺産分割内容について同意すればいいだけ」です。
よって、形式は電話、メール、手紙でも問題ありません。
遺産分割協議をする際には注意したいポイントがあります。
注意点1:遺産分割協議には全員の同意が必要
遺産分割協議は相続人全員が参加しなければいけません。
遺産分割についての主張が受け入れられないからと、特定の相続人を除外して協議をしても、その協議内容は無効です。
注意点2:相続人の見逃しに注意
自分の知っている親類縁者以外にも相続人がいるかもしれません。
遺産分割協議を行う前に、必ず戸籍を確認し相続人に見逃しがないかチェックしてください。
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遺産分割協議での安易な「不動産の共有名義化」は危険
遺産分割協議では「長男が不動産をすべて相続する」「長男が実家を相続する」など、不動産を相続人のひとりの名義にするよう取り決めることが可能です。
反対に相続不動産を相続人の「共有名義」にすることもできます。
たとえば、実家に3分の1ずつの持ち分を設定して共有するようなケースを共有名義と言います。
しかし、相続不動産の共有名義には複数のリスクがあるため、当法人では安易な共有名義の利用は避けるようにお伝えしています。
安易に共有名義を選ぶとあとで大変なことに…
相続不動産を共有名義にすると制約ができてしまうほか、トラブルの原因になることがあります。
たとえば、実家を兄弟2人で共有名義して、1/2ずつの持ち分を設定しました。
兄弟が亡くなると、兄弟の相続人がそれぞれ持ち分を相続します。
兄の相続人が2人いれば、兄の持ち分である1/2を2人で相続します(=1人1/4)。
弟の相続人が3人いれば、相続人3人が弟の持ち分である1/2を相続します(=1人1/6)。
このように、共有名義の不動産は相続が進むにつれて、不動産に関わる人が増えていき揉める可能性も高まります。
遺産分割協議の際に不動産分割について話がまとまらず、安易な理由で「共有名義にしよう」するのは危険です。
このような理由での共有名義化は、トラブルの先送りにしかなりません。
1.不動産の管理負担で揉める
共有名義の不動産は共有者で管理します。
不動産を維持するためには掃除も必要ですし、固定資産税の納付なども必要です。修繕費用や庭の木の剪定費用なども必要になることでしょう。
基本は、共有者で不動産の維持管理に必要な労力と費用を分担します。
しかし、この分担が思うようにいかず、収入の多い共有者や不動産に近い共有者が多くを負担するケースが非常に多いです。
このような負担の偏りが、のちのトラブルに繋がる原因となります。
2.全員の同意がないと売却できない
共有名義の不動産は「共有者全員の同意」がないと売却できません。
兄弟三人で相続不動産を共有していた場合は、三兄弟全員が同意しないと相続不動産の売却はできない決まりです。
ただし、共有名義であっても「自分の持ち分」については売却可能です。
先ほどの三兄弟の例では、1/3ずつ持ち分を設定している場合は、持ち分である1/3は長男自身の意思だけで売却できます。
持分売却については、「ほかの共有者に買い取ってもらう(次男・三男)」や「専門の買取業者に依頼する」などの方法が検討されます。
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共有名義を選ぶときは必ずデメリットも知っておくこと
共有名義は設定前にデメリットをきちんと理解しておきましょう。
▼共有名義のデメリット
・維持管理の負担を巡ってトラブルになりやすい
・相続が複雑化しトラブルになりやすい
・不動産売却が難しくなる
共有名義にしたくない場合は「換価分割」で対処するのはどうでしょうか?(次章で詳しく解説します)
相続不動産は売却して現金で分けると揉めにくい
相続不動産を共有名義にしたくない場合、「不動産売却して売却金を分割する解決方法(=換価分割)」がよく用いられます。
たとえば、相続不動産を兄弟に分割したい場合、長男あるいは次男が相続不動産を相続するという方法も考えられます。
しかしこの方法だと遺産が不動産しかない場合は兄弟の片方が遺産を受け取れず不公平です。
相続不動産を換金して現金を兄弟で分ければ、兄弟の片方が遺産を受け取れないという不平等な結果を避けられます。
不動産売却をすれば、「不動産の共有名義」を避けることも大きなメリットです。
遺産分割協議で不動産の取り扱いに悩みそうなときはプロに相談
「相続不動産を売却する」と相続人同士で決めていても、「では、どうやって売却するか?」が問題になります。
相続不動産を売却したくても、どこに相談し、どのような流れで売却したらいいのか分からず困ってしまうのです。
相続不動産を売却しようという話になっているなら当法人へご相談ください。
当法人は不動産相続に特化した専門家集団で、不動産相続のためにチームで動きます。
不動産売却や法律・税金について専門家がサポートと適切なアドバイスをいたします。
【ポイント】
相続不動産の売却だけでなく、不動産の扱いを巡って相続人の意見が対立している場合でも、提携の弁護士が解決をサポートしますのでぜひご相談ください。
遺産分割協議書とは?
遺産分割協議書とは「遺産分割協議の内容をまとめた書類」です。
遺産分割協議をしても何らかのかたちで残しておかないと、第三者に遺産分割の内容がわかりません。
相続人同士でも行き違いにより「遺産分割協議で言った」「同意していない」と揉めてしまう可能性があります。
第三者に遺産分割の内容がわかるように、そして相続人同士で後から揉めないように、遺産分割協議の内容は遺産分割協議書としてしっかりまとめておきましょう。
【注意】
今回は遺産が不動産のみの相続について解説します。
※遺産分割協議書は、不動産の相続登記以外にも預金の相続手続きや相続税の手続きなど、他の相続に関する手続きでも必要です。
遺産分割協議書の書き方・作成方法
遺産分割協議書は、必ずしも専門家に作ってもらわなければならないというルールはありません。
相続人の誰かが作成することも可能です。
遺産が不動産しかない場合は、不動産のみを記載した遺産分割協議書を作成することもできます。
また、不動産以外に有価証券や預金などがある場合にも、不動産の分割のみに限定した遺産分割協議書を作成することも可能です。
不動産の相続登記をする場合は、遺産分割協議書に不動産について明記しておくことが重要です。
仮に相続不動産に持ち分を設定する場合は各人の持ち分も明記しなければいけません。
遺産分割協議書の作成に必要な書類
遺産分割協議書を作成するときは以下の書類を準備しておきましょう。
▼遺産分割協議書の作成に必要な書類
・登記事項証明書
・固定資産評価証明書
・名寄帳
登記事項証明書とは、不動産の名義人や権利の状況などを確認できる書類です。
固定資産評価証明書は、不動産ごとの固定資産税や課税対象の不動産の住所、地番や地目、土地の地積などを確認できる書類です。
固定資産評価証明書には、課税対象の不動産の情報が記載されていますが、私道など一部記載されない不動産もあるため注意してください。
私道など記載されていない不動産は遺産分割協議書への記載を忘れがちなので、あわせて注意が必要です。
名寄帳は所在地ごとの所有不動産の一覧表です。
遺産分割協議書の記載に漏れがないか、名寄帳でチェックしながら進めるといいでしょう。
【ポイント】
この他に、必須ではありませんが、遺産分割協議の内容のメモを用意しておくと便利です。
協議中のメモがあれば、遺産分割協議書を作成時のミスが少なくなります。
必要書類の入手方法
登記事項証明書は法務局の窓口で取得できるほか、オンラインで申請して郵送で受け取ることも可能です。
固定資産評価証明書は毎年春に送られてきます。
被相続人の持ち物の中にないか探してみてください。
なお、自治体の窓口に足を運べば固定資産評価証明書や名寄帳の取得・確認ができます。
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【不動産のみ】遺産分割協議書のひな形
遺産分割協議書には次のようなことを記載します。
▼記載内容
・タイトル
・被相続人の情報
・遺産分割の対象物
・相続人
・その他の財産について
・遺産分割協議に基づく記載であること
遺産分割協議の内容が複雑なときは文言選びに注意してください。
文言の選び方によっては後から相続トラブルになる可能性があるため、相続人全員で確認するとともに弁護士などの専門家にもチェックしてもらった方がいいでしょう。
遺産分割の対象になる不動産が多い場合も記載漏れなどに注意が必要です。
【注意】
遺産が不動産だけでも、不動産の数が多い場合は専門家のチェックを受けた方が安全です。
記載漏れは相続トラブルの原因になります。
前文:被相続人の情報を記載
遺産分割協議書には被相続人の情報を記載します。
被相続人の情報を書かないと誰の遺産相続だかわかりません。
誰の遺産相続なのか分かるように、次のような被相続人の情報を記載します。
▼被相続人の情報
・被相続人の氏名
・被相続人が亡くなった年月日
・被相続人の最後の住所
・被相続人の本籍地
被相続人の情報については除斥謄本や住民票(除票)などで確認できます。
財産:対象物と相続人を記載
遺産分割協議でまとめた「相続人の誰が何を相続する」について記載します。
遺産分割の対象である「不動産の情報」と「相続する者の情報」を書いてください。
▼土地の記載
・土地の所在
・土地の地目
・土地の地番
・土地の地積
▼建物の記載
・建物の所在
・家屋番号
・建物の種類
・建物の床面積
・建物の構造
▼マンションの記載
・一棟の建物の表示:所在、構造、床面積
・専有部分の建物の表示:家屋番号、建物の名称、種類、構造、床面積
・土地の表示:所在、地番、地目、地積
不動産については登記情報などを参考にしてミスなく記載してください。
記載方法がわからないとき、不動産が多く複雑なときは、無理に自分で作成しようとせず専門家のサポートを受けることをおすすめします。
例外:その他財産について
遺産分割協議をしたあとに新規の財産が見つかるかもしれません。
たとえば、相続人が遺産の調査をしたら実家の家屋敷しか見つからず、遺産分割協議書には、実家の家屋敷についてしか書いていなかったとしましょう。
このような状態で、あとから被相続人名義の預金が見つかりました。
このときに役立つのが「例外についての記載」です。
事前にあとから追加の遺産が見つかったときの分割方法を決めておけば、再度の遺産分割協議をせずに済みます。
あとから遺産が見つかったときのおもな対処方法は下記の2つのパターンです。
パターン1:特定の人物が遺産を取得する
新しく遺産が見つかった場合は「特定の相続人がそれを取得する」と定める方法です。
「記載漏れの遺産や将来発見された新たな遺産や負債は相続人〇〇が取得および承継する」などの文言を加えておきます。
パターン2:再度の遺産分割協議をする
再度、みんなで集まり遺産分割協議を開くと定める方法です。
「上記遺産以外の遺産や負債が将来的に発見された場合は、遺産あるいは負債について再び相続人で協議して決める」などの文言を加えておきます。
漏れなく遺産分割協議を作るために
例外について決めておくことも重要ですが、漏れのないように遺産調査をすることも重要です。
被相続人の私物や各種の書類から漏れた不動産やその他の遺産(預金や有価証券など)がないか、注意して探してみてください。
遺産の漏れが不安な場合などは、弁護士や司法書士などの専門家に調査を依頼することをおすすめします。
文末:協議に基づく決定であると記載
遺産分割協議書の最後に「相続人全員による遺産分割協議が成立した旨」「日付」「相続人の住所・被相続人との関係・署名・押印」を記載します。
各相続人の署名は自署、押印は実印を使います。
なお、捨印の欄を設けておくと書き損じがあったときの訂正に便利です。
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遺産分割協議書の作成は司法書士にお願いすると楽
遺産分割協議書は相続人が自分で作成することも可能ですが、ミスなくスムーズに作成したい場合は、やはり専門家に依頼するのが一番です。
司法書士に依頼すれば、遺産分割協議書の作成から相続登記まで一連の手続きをお任せできます。
相続人は自分の時間を削って書類の準備や作成する必要がなく、もっとも楽な方法だと言えるでしょう。
遺産分割協議書の作成を司法書士に依頼するときの相場
相続での司法書士のおもな役割は「相続登記」で、この相続登記の費用に遺産分割協議書の作成も含まれていることが多いです。
相続人の特定、遺産分割協議書の作成、相続登記すべてを含めて7~15万円ほどが相場です。
相続登記のみの場合は5~8万円と少し安くなります。
これらの価格は、相続人の人数、不動産の数等によって変わってくるため、依頼前に必ず事前に見積りを依頼しましょう。
その際は「何をして欲しいか(書類の収集から登記まですべてお任せしたい、登記だけお任せしたなど)」を明確に伝えるとスムーズです。
司法書士に依頼するメリット
▼司法書士依頼するメリット
・時間や労力の負担をカットできる
・ミスなく作成できる
・遺産分割協議書によるトラブルを防止できる
・相続登記までお任せできる
司法書士に遺産分割協議書の作成を任せれば、相続人は協議書作成の時間や労力がかかりません。
しかも完成した協議書はプロが作成したものなので、ミスの心配もなく、文言等であとあとトラブルになることも防げます。
また、司法書士に遺産分割協議書の作成を依頼すると、そのまま不動産の相続登記まで行ってもらえます。
相続人は、改めて相続登記に関する知識や手続きを調べる必要もなく、すべてお任せで手続きを完了させられます。
行政書士に依頼してもOK
遺産分割協議書の作成は行政書士に依頼することもできます。
行政書士の場合は費用相場が6万円前後と、司法書士よりやや相場が低めになっているケースも少なくありません。
ただし、相続登記は行政書士の管轄外です。
相続登記をする場合は別途司法書士に依頼するか、相続人自身でしなければいけません。
行政書士に遺産分割協議書だけ作成してもらって相続登記は司法書士に依頼すると、司法書士に一連の流れとして依頼したときより費用総額が高額になりがちです。
行政書士に依頼する場合は、手続きのスムーズさとトータル費用を含めて検討してみてください。
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まとめ:遺産分割協議書の作成はムリなくプロに相談しよう
遺産分割協議書とは、「遺産分割協議で決めた内容をまとめた書類」です。
相続手続きでは重要な書類になりますので、個人で作成するよりプロに任せた方が安心です。
相続手続きは遺産分割協議の作成だけではありません。
続く相続登記などの手続きをスムーズにこなすためにも、プロに依頼した方がいいでしょう。
当法人は不動産の含まれる相続について無料で相談できる窓口です。
「遺産分割で揉めている」、「不動産を換金して売却金を分割したい」など不動産を含む相続でわからないことや困ったことがあれば、ぜひ当法人へ気軽にご相談ください。
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