日本の相続では、ほとんどのケースで財産に不動産が含まれており、「相続」と「相続登記」は切っても切り離せない問題です。
そもそも相続登記とは、不動産の名義変更手続きのようなもので、相続発生後に法務局で手続きを行います。
ただし、実際は相続登記をしていない不動産も多く、この未登記不動産が大きな社会問題となっています。
本記事では「相続不動産の登記」や「相続登記しないデメリット」などを総合的に解説していきます。
【注意】
登記手続きを行わないと、不動産の所有者にも不利益が生じることがあり注意が必要です。
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【目次(タップで移動できます)】
・【重要】相続登記が義務化されます
・相続登記は絶対に必要?
・相続時は自分でできる?
・相続登記で必要な書類
【重要】相続登記が義務化されます
これまで相続登記(=名義変更)は法律上の義務ではなかったのですが、2024年からは義務化(罰則あり)されます。
相続登記の義務化後は、相続で不動産を取得したと知った日から3年以内に相続登記を行ってください。
もし、必要な登記手続きを上記の期限内に行わないと、10万円以下の過料が課されます。
相続登記後に、不動産所有者の氏名や住所に変更があった場合も、その日から2年以内に変更登記が必要です(こちらも義務化されました)。
なお、相続登記は多くの資料を用意しなければならず、時間が経つとその収集が困難になることもあるので、できるだけ早く登記を済ませることが重要です。
相続登記が義務化の重要ポイント
この変更登記の義務に違反すると5万円以下の過料が課されます。
本改正法については、2024年4月1日施行です。
この法改正では施行後に過去に遡ってこの法律が適用されることになります。
2024年以降は、過去の未登記不動産に対しても登記義務が必要となるため、現時点で相続登記を迷っている方は、ためらわずに手続きを進めるようにしてください。
なぜ相続登記が義務化されるの?
日本には所有者不明の土地が多数存在しており、国土の有効活用が妨げられていると問題になっています。
これを解決するために(=土地の所有者が誰かわかるようにするために)、法改正で相続登記の義務化が決定しました。
不動産相続時は絶対に登記・名義変更しないとダメ?
2024年の義務化までは、相続登記の義務はありません。
しかし、前章で述べたように、この改正法には遡及効(=過去に遡ってその法律が適用される効果)があります。
「今は相続登記の義務がないからそのままでいいや」と放置せず、今の段階から相続が発生したらきちんと相続登記までするようにしましょう。
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相続登記しないことのデメリット
相続登記を行わないとどのようなデメリットや危険性、リスクがあるのでしょうか。
所有者に実害が発生するいくつかのパターンを見ていきます。
次の相続(数次相続)がややこしくなる
数次相続とは、最初に死亡した人の相続処理(相続登記など)が完了しないうちに、その相続人も死亡してしまい、未処理の相続が続けて発生することを言います。
たとえば、高齢の夫が死亡し妻と子供が相続人となったとき、夫の相続処理をしないうちに同じく高齢の妻が亡くなったケースなどがこれに当たります。
夫の死亡後に相続登記をしておかないと、妻の死亡時に妻の兄弟などが相続人として名乗りを上げてくるかもしれません。
このように相続の度に、きちんと相続登記をしておかないと、相続人はどんどん増えていってしまいます。
何代目かの相続になると、名前も顔も知らない相手と相続の話をまとめることになり、かなりの苦労が予想されます。
相続の話し合いがまとまらなければ、相続不動産の処分や活用もできません。
差し押さえの危険性がある
登記とは、その不動産に対し誰がどのような権利を持っているのかを公的に示すための制度です。
登記によって名義変更の手続きをしておかないと、第三者に対してその不動産が自分のものであると公的に証明することができません。
そこで発生するのが「債権者による差押えの危険性」です。
共同相続人のうちの誰かに借金があった場合、その債権者は債務者(=借金をした人)の法定相続分を相続登記し、差し押さえ登記を加えて債権回収を図ることができます。
簡単に言うと、「借金したお金は相続した家の持分で返してね」ということです。
仮に話し合いで、別の相続人に不動産すべてを渡すことが決定していても、相続登記をしておかないと債権者に対し「この家はすべて私の物です」という主張ができなくなります。
持分が売却されるリスク
遺産分割協議が済み、各相続人の持分が決定したとしても、登記が完了するまではその権利が保障されません。
これを利用して、共同相続人が勝手に他社の分まで相続登記を行うと、その持ち分は他者に売却できる状態となります。
事情を知らずに持ち分を買い取った相手に対し、登記が無い状態では遺産分割協議で所有権を取得したことを主張できず不利益を被る可能性があります。
遅くなると手続きに必要な書類が揃わない可能性がある
相続登記で必要な書類の中には、関係者の住民票や戸籍などもあります。
相続登記が遅くなると、こういった書類の発行が受けられなくなる危険性があります。
住民票や戸籍には保存期間があるため、書類をスムーズに発行してもらうには保存期間内の登記が必要です。
▼書類の保存期間
・住民票:150年(2024年~)
・戸籍:150年
一見すると、非常に長いので問題ないように見えますが、住民票の保存期間は令和6年までは5年とされており、すでに破棄されたものについては再発行ができません。
戸籍についても、過去の保存期間は最短50年のものもあり、同様にすでに破棄されている可能性があります。
必要な書類がそろわない場合、上申書という特別な証明書類を作成しなければならず、より相続登記が難しくなります。
トラブル防止のためにも相続不動産の名義は変更すべき
相続登記の放置には多くのデメリットやリスク、危険性が伴います。
今回起きた相続が揉めごとなくスムーズに進んだとしても、今後も何も問題が起こらないという保証はありません。
自身のためだけでなく、将来の相続人となる家族のためにも、現状で名義変更が済んでいない不動産は早めに相続登記を済ませておくようにしましょう。
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相続不動産の登記・名義変更は自分でできる?:プロにお任せが安心
不動産の登記自体は無資格の一般人でも行うことができます。
ただし、登記経験のない一般人が対応できるのは、相続人が配偶者と子供だけといったシンプルな例くらいでしょう。
過去の相続に未登記がある、相続内容が複雑でどうすればいいかわからない、時間がないといったケースでは専門家(司法書士)にお任せするのが一般的です。
専門家に依頼すれば、手間のかかる相続登記に必要な資料収集から代理で行ってくれます。
遠方の役所とのやり取りもすべて代行してくれるため、勤め人にとっては非常に助かるものと考えられます。
相続登記の相談は一般的には司法書士へ
相続登記に関する相談や手続きの依頼は、司法書士が得意とする分野です。
一般的には司法書士に相談するのがいいとされています。
以下では、司法書士に相続登記を依頼した場合、司法書士が代理で行ってくれる業務と価格について解説します。
1.対象不動産の確認と情報収集
まずは対象不動産を確認するために登記簿を取って内容を確かめます。
不動産そのものの情報だけでなく、その不動産にどのような権利が付属しており、その権利者が誰なのかなども把握します。
また登録免許税の金額を算出するために固定資産税に関する書類なども確認します。
2.関係者の戸籍など登記に必要な資料の収集
ケースによって登記に要する書類は異なりますが、被相続人の出生から死亡までの戸籍などの収集を行います。
具体的に必要となる資料は次の章で紹介します。
3.登記申請
相続登記に関する申請書一式を揃えたら、別途登記申請書を作成し法務局で登記手続きを行います。
司法書士は電子申請の設備を整えていることが多いので、一般の申請(窓口や郵送)と比べスムーズに申請手続きができます。
4.申請完了後の書類の受け取り
登記申請手続きが無事に済むと、不動産に関する登記識別情報が発行されます。
この際、戸籍などの資料は原本還付の手続きを取ることで返還してもらえます。
司法書士に依頼すれば、これらの煩雑な作業をほぼすべて代行してもらえます。
料金は司法書士ごとに異なりますが、約10万円程度が相場です。
当法人では相続登記、相続税、不動産の売却をまとめてサポートします
相続した不動産について売却もご検討の場合は、ぜひ当法人にご相談ください。
当法人は、不動産に特化した専門の相続コーディネーターとして、各専門家と連携しながら相続の問題解決にあたります。
売却時に必要な相続登記については、提携の司法書士が対応します。
その際も、窓口はひとつ相続コーディネーターのみなので、ご相談者さまの手間(自分で司法書士を探し再度状況を伝える等)は少ないです。
相続不動産の登記・名義変更で必要な書類
ここでは相続不動産の登記(名義変更手続き)で必要な書類をケース別に見ていきます。
※スマホの方は表を左右に動かせます
被相続人の戸籍謄本 ※出生から死亡までの戸籍 | |||
被相続人の住民票の除票 | |||
不動産を相続する人の戸籍謄本 | |||
不動産を相続する人の住民票 | |||
相続人全員の戸籍 | |||
相続人全員の印鑑証明 | |||
その他 | ・遺言書 ・遺言書を検認した証明 ・遺言執行者の選任審判書謄本 | - | ・遺産分割協議書 |
遺言書がある場合
まずは遺言書があるケースで必要となる書類を確認します。
①遺言書
被相続人が生前に残したものを捜索する。
②遺言書を検認した証明(検認調書または検認済証明)
被相続人の生前の住所を管轄する家庭裁判所で取得。
③被相続人の死亡の事実が確認できる戸籍謄本
被相続人の本籍地を管轄する市区町村役場で取得。
④被相続人の住民票の除票
被相続人の死亡時の住所地を管轄する市区町村役場で取得。
⑤不動産を相続する人の戸籍謄本
当該者の本籍地を管轄する市区町村役場で取得。
⑥不動産を相続する人の住民票
当該者の住所地を管轄する市区町村役場で取得。
⑧遺言執行者の選任審判書謄本
被相続人の死亡時の住所を管轄する家庭裁判所で取得。遺言書で遺言執行者が選任されてる場合は不要。
遺言書がなく遺産分割協議もしない場合
遺言書がなく遺産分割協議もしない場合、つまり法定相続分通りとする場合は以下となります。
①被相続人の出生から死亡までの戸籍
被相続人の本籍地を管轄する市区町村役場で取得。
②被相続人の住民票の除票
被相続人の死亡時の住所地を管轄する市区町村役場で取得。
③相続人全員の戸籍
当該者の本籍地を管轄する市区町村役場で取得。
④相続人全員の印鑑証明書
当該者の住所地を管轄する市区町村役場で取得。
⑤不動産を相続する人の住民票
当該者の住所地を管轄する市区町村役場で取得。
遺言書がなく遺産分割協議を行う場合
遺産分割協議を行うケースでは以下となります。
①遺産分割協議書
全相続人の同意のもとで作成する。
②被相続人の出生から死亡までの戸籍
被相続人の生前の本籍地を管轄する市区町村役場で取得。
③被相続人の住民票の除票
被相続人の死亡時の住所地を管轄する市区町村役場で取得。
④相続人全員の戸籍
相続人の本籍地の市区町村役場で取得。
⑤相続人全員の印鑑証明書
当該者の住所地を管轄する市区町村役場で取得。
⑥不動産を相続する人の住民票
当該者の住所地を管轄する市区町村役場で取得。
ケースによっては、その他資料を求められることもありますので、詳細につきましては法務局や各専門家にご相談ください。
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相続不動産の登記・名義変更の流れ
ここでは、相続した不動産の登記手続きを自分で行う場合の大まかな流れを紹介します。
「複雑そう」「時間が取れなさそう」と感じた場合は、無理せず司法書士さんに連絡・相談してみてください。
▼相続不動産登記の大まかな流れ
1.相続する不動産の特定
2.必要書類の収集
3.相続登記に必要な書類の作成
4.法務局で登記申請をする
相続する不動産の特定
相続する不動産の登記簿を取得します。
不動産の登記簿取得には、日常で使う「住所」とは異なる「地番」や「家屋番号」が必要です。
土地には地番、建物には家屋番号を使います。
これらの番号は、固定資産税に関する通知書や、過去に取得した登記簿で確認できます。
地番、家屋番号確認後に法務局で最新の登記簿を取得してください。
必要書類の収集
登記申請に必要な関係者の戸籍や住民票などの資料を集めます。
遠方の役所と複数回のやり取りが必要な場合は、ある程度の時間がかかることを想定しておきましょう。
相続登記に必要な書類の作成
登記申請書を作成し、その他の関係資料とあわせて登記申請書類一式を揃えます。
なお、相続関係説明図を作成して添付すれば、戸籍謄本などの原本を還付してもらえます(必要に応じて作成してください)。
法務局で登記申請をする
作成した登記申請書類を法務局に提出し相続登記の申請をします。
専門家は電子申請も可能ですが、一般の方は窓口か郵送で行うのが一般的です。
この際、不備が出る可能性が高いため、事前に窓口に持ち込んで担当者のチェックを受けておいた方が安心です。
相続登記に関するFAQ
最後に相続登記に関してよくあるFAQを載せておきます。
Q1:相続不動産を売却する場合も相続登記は必要?
A:相続した不動産を売却するには、まず自分名義に変更してからでないと売買できません。
まずは相続登記によって自分名義に変更し、登記簿の所有権者の欄に自分の名前を載せる必要があります。
Q2:相続不動産を共有名義にしてもいい?
A:相続した不動産を複数の相続人で共有とすることは可能です。
ただし、一度共有不動産にしてしまうと、下記のような制限がかかるため一般的には不動産の共有名義はおすすめされていません。
▼共有名義不動産の制限
・売却時:共有者全員の合意が必要
・賃貸住宅として貸し出す場合:共有持ち分の過半数の同意が必要
現状で相続人間に不和がなくても、将来的に不仲になる可能性もあり、その際の足かせとならないよう不動産の共有は避けた方が無難です。
まとめ:トラブルを防ぐためにも相続登記はきちんと行おう
相続登記は2024年に義務化が予定されています。
義務化は過去分にも遡って適用されるため、現時点の相続もきちんと相続登記しておくと安心です。
相続登記だけでなく、不動産売却についてもお悩みがある場合は、当法人にご相談ください。
当法人であれば、相続に関する問題を相続コーディネーターが中心となってワンストップで解決致します。
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